↑前回。

『Antichrist Suprestar』……キリスト教へのアンチ活動のヒーロー。
1話から散りばめたマリリン・マンソン、ロックンロールの話は、このサブタイトルへ辿り着くお話でした。
キリスト教をたてに「教育」を押しつけてくる学校という箱庭に疑問を持ったマンソンのロックとゴシックは、同じく「教育」が大っ嫌いで教室から外れた僕にとって世界一のスーパースターでした。芸術のためなら、ライブ中に聖書を燃やして飛ばすくらいの男でありたいものですね。

切り絵での『駆け込み訴え』は、何度も何度も繰り返し観ています。
あらゆる試行錯誤を重ね、そのほとんどは力不足で不恰好なものでありましたが、この切り絵部分は、僕の夢見た「映像の美術」そのものです。このシーンに繋がるまでの物語を書けたのだなと、関係者全員が報われます。


実は、ロリポップは1話時点からユダがモチーフの話をしてきましたが、訳のわからんアニメなのであんまり拾われることはなかった。序盤は演出のこなれてなさ含めて、ランダムに喋っているような印象になっており、これはこれですごいなと驚く。6話はもっと直接的にユダの名前に言及しましたが、6話は6話でぶっ飛んでいるので、時折出てくるキリスト教要素を紡いでいったのは海外勢が多かったです。

ユダの接吻。6話の美術館にもこっそり飾ってありましたね。
展開の答えについては頻出しているのに、中身が意味不明ゆえにあんまりバレないという大胆な手法。
といっても、このアニメが「超てんちゃん」をどう捉えているかは分かってくるとは思っていますが。
大野りりあなさん、本当に、本当にありがとうございました。

フィギュア化決定!!!


対決パート。
結局は、「深夜に女児アニメが放送していたら」というテーマがあるわけで、どうあってもこの形は考えていました。ダンスパートがないと女児アニメじゃないもんね、と。せっかく全体曲があるので個別曲も急いでと5〜7で急造したのです。個を経てからの全体曲にするのがお約束だからね。

元より、どこまでが現実なのかイメージ映像なのかわからないアニメでしたが、ここからは僕もわかりません。そもそも脚本時にも、どこからがイメージなのか書いていないし、パフォーマンスバトルがなんなのか説明も書いていません。


ダンスパートがあったのは嬉しいですね。
女児アニメじゃなくても、死ぬ気でめちゃくちゃやればどうにかなることが証明できて嬉しいです。
そういえば、この回の収録直前、たまたまアニプレックス社内に居た際、美血華役の椎名さんと出会ったので「よければ稽古を見てみてください」と誘われ、数人で美血華のセリフを練習する様子を眺めて、「頑張っているなあ……」と感じているのですが、なんと10話にかぎって美血華のセリフは二言くらいしかなかったのであまり練習にならず、ちょっぴり気まずかったです。
Silver30、銀貨30枚でイエスを売ったあくどい商人の歌です。
3人別々の日にレコーディングして、3回分のディレクションをした分、思い入れもひとしお。
壊してあげる 酷い脳を
愛してあげる 優しい罪
焦らしてあげる 狂う罰を
眠れるように take me under
注いであげる 熱い毒を
解いてあげる コインを喰み
殺してあげる 時よ止まれ
Kiss of betrayal ─裏切りの口づけ
(Loli pop Dance)


この回用の衣装。

お久しぶりデザインの集大成ですね。
もう、超てんちゃん描き尽くしたといっていたところで、一周して女児アニメ的な衣装が最後にできて良かった。

一方、ロリポップの方は特撮チックになりました。右はボツ案。あまりに僕の趣味に……具体的には絶滅タイムに寄りすぎたかなと。そして、おもちゃといえば特撮だけじゃないよな、と。

お久しぶりさんもあまり得意としていないメカメカしいデザインも用意しました。
彼女は、男の子が興味持っちゃうものの代表ですから。
自分の中でのニチアサバトルだったんですよ。女児アニメと特撮。僕がこれまで追ってきたものたちの意味。

勝敗のつき方なんて単純ですよ。
ユダ対レイ、北斗の拳から続いた「美しいもの同士が戦うとき」に起きる唯一の一瞬、「相手を美しいと認めて瞬間に心が敗北する」それだけ。筋力や技術なんて小手先のバトルでなく、「水鳥のように跳ねたレイの軌道」に見惚れてしまったら負けなんです。

さて、超てんちゃんですが。
このアニメに関しては、完全に「傲慢になってしまった神様」そのものです。
発端は、確かに迷えるインターネットの子羊のために明るくあろうと、痛みをすべて引き受けるキリストそのものであれたのですが。
彼女は、「インターネット全体の期待を受け止めるために、自我と呼べるものを失った存在」です。なので、本作では常に達観した発言しか繰り返さず、人間性を垣間見ることができません。あえていうなら過去編の3話くらいです。
多くの人々が期待した「可愛くてポップで時に哲学的なことも言ってくれるインターネットの天使」は、本編前に死んでいます。あらゆる期待と欲望に塗れた彼女はもう天使と呼べるほど純粋な存在でありませんでした。
そんな彼女の精神性を保っていた唯一の要素が、恋人「ピ」でしたが、そのイマジナリーフレンドごとロリポップが貫いてしまいました。超てんちゃんは、達観して神として「個人を愛さなくなった」罪を次回から償うことになります。
これは、僕自身がもう超てんちゃんを眠らせてあげて欲しいからです。
「アニメで登場したオリジナルキャラクターに世代交代させる」という展開は原作者が書くしか許されないシナリオです。なので、どんなに叩かれようとも、序盤の展開で人が振り落とされていこうとも、「傲慢さと責任を抱えすぎて堕ちていくしか道のない天使」を描こうと思った。これが自傷と薬物の果てで起こるバッドの一つで、その毒のもう少しカジュアルな描写に美血華を選びました。あらゆることへの依存が渦巻く中、「インターネットの神様として自己を犠牲にして神格化されてしまった神」は殺してあげねばなりません。
もう、殺してあげてください。

それを、ロシア文学を、罪と罰を背負ったロリポップに、ユダに、最高のロックンローラーに、アンチ・クライスト・スーパースターに委ねるしかなかった。そういう話だったんですね。
なぜ、彼女が、これまでネット上でトップクラスに信仰されてきたエンジェルを殺してしまえたのか。


自閉した神へのお仕置きは、それぞれの「仲間」が彼女に手渡したアクセサリーたちでした。
美血華の逆十字は天使さまを貼り付け、かちぇのピアスは天使の両腕を突き刺す聖なる針へ。禰智禍の指輪は天使さまの心臓を突き刺す槍へと変化します。


こうして、「世界全体を愛そうとしすぎて個人を見つめることができなくなった狂った神さま」は、その神さまを誰よりも信仰し、美しいと感じてきた卑しい商人によって貫かれてしまうこととなります。
偽りの恋人と過ごす、自閉した彼女の傲慢な世界を、三位一体が成敗したのですね。
いろんな意味で、もうこれ以上、超てんちゃんを眠らせてあげて欲しいのです。
彼女は、このように多くに人間たちの欲望と期待によってパンクした存在です。
原作者からの願いなんです。彼女をもう、壊れたおもちゃのように都合よく利用しないでください。
もう、眠らせてあげたくて殺したのです。

やり切ったユダの骨を拾う王子様は禰智禍に。
彼女にはいつもいぶし銀な扱いをお願いしているので、なんだか申し訳ないね。他の回で、僕がどれだけ禰智禍の「善性」に拘りを持っているかを書きたいとは常々思っています。
僕にとってのイエスキリスト、ユダ、連なってマリリン・マンソンの芸術とは、ドストエフスキーと宗教とは、そして何よりロックンロールが描き切れた、大満足の一話となりました。絵コンテの安部さん、協力いただいたA1Pictresさん、ありがとうございます。何より、切り絵の方にも!

次回、放送できるかだいぶ争っているくらいに危ないです。
それだけ、「殺されてしまった神さま」と、その罪を描いていけたらと。
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