RTA in Japanのシムシティが爽快で、もはや一周どころでなく何度も垂れ流している。自分の好きなゲームの「解答」が目の前で繰り広げられていく様、シンプルに効率を追記したプレイ内容、数字の増減が小気味良い。

ときおり挿入されていく実況のユーモア、税率を上げまくる市長へのツッコミ、次々と建て壊す病院や学校に対して、現実での施設の減少率も引き合いに出す……など、リアルとのリンク具合を解説に挟むことで、シムシティの持つシミュレーションとしての恐ろしいほどのポテンシャルを際立たせる。まるで「街」自体が一つの生き物かのように、そして実際にそのように感じた製作者の意図が伝わってきて感動があります。
SFCシムシティは、その大ヒット具合から数々の攻略が伝えられている。それらはゲームの攻略法でありつつ、社会の成り立ちとイコールでもあるのだ。
レジャー施設は住宅街の地価を上げるために、住宅街の地価を上げるために派手な施設を増やしすぎたら警察署を隣接させて治安を維持する。工業地帯や商業施設の配置位置、道路や線路を最低限の数で成立させる置き方……。ゲームをプレイしているだけで、現実世界での各施設の持つ役割、適切な位置関係などがわかってくる! Wiiのバーチャルコンソールでこの作品を遊んだ際の僕が、正しく「街ってこういう意味があるのか!」と理解をしたように。
RTAでは、はじめに税率をMAXにまであげ、とにかく資金を作る。税率が高くとも住宅地の地価が上昇していけばなんとかはなり、それから人口増加が頭打ちとなったら税率を一気に下げて人を増やす。ものすごくざっくり言えば、基本的にこの方法で人口60万人のメガロポリスを約1時間で達成するのだ!
子供が税金の仕組みを肌で理解するのに、もっとも適したゲームはシムシティではないか。街をよくするために税は必要で、だからといって市民への負荷が強いと人は怒り出す。「あなたたちのため」であっても。そのバランスを取りつつも、税を使って警察署や消防署なども運営せねばならない。これらのシステムを自身の指で体験できる超名作、それこそシムシティだ! 今回の実況によると、実際に教育の一環として子どもたちにシムシティへ触れさせる市もあるのだとか。素晴らしい! 社会の教科書一つで、僕らのようなクソガキがこの複雑さを理解するわけがないのだから。
そのうえでRTA in Japanらしいオタク的な語りも面白い。
例えば、古くからシムシティの攻略では「人口が増えないので病院は即建て壊そう」と教えられてきた。これはバーチャルコンソールで遊んでいた幼き日の僕ですらなんとなく知ったことだ。おそらく、シムシティの話題の際に大人たちの誰もが真っ先に話す情報であった。
が、今回の走者はその噂の発祥、実態について丁寧に解説と否定。当時、特に有名であったシムシティの攻略本3冊を購入したところ、そのすべてに「病院を建て壊そう!」と書いてあったことを確認し、そこまで言われたらからには、みんな「このゲームで病院や学校は要らないんだ」と刷り込まれていったのではないかと。
しかし、このゲームでは一定の条件を満たすとプレゼントとして豪華な施設が手に入る。その条件の一つに「病院や学校が一定数作られていること」があり、その条件を満たすまでは病院や学校を建設する必要がある。それ以降は攻略本にもある通り、人口増加に関係しないので病院や学校を建て壊していくべきなのですが、それらの細かい説明が抜けているせいで「とりあえず病院を壊そう」とバイオレンスな定石だけが残ったのだ! こうして紐解かれていくと、なんなら僕も病院の件を簡略化して覚えていたこともあり、ゲームって面白いなあと感心しますね。
比喩や誇張でなく、本当にシムシティが無ければ分からなかったことが、シムシティに教えられたことが無限にある。あと信長の野望にもかなり教えられたね。
教育的な部分を極めてテンポよくユーモラスに、そしてシステムとして熱中させることで、大人たちが行なっている謎の仕事たちの魅力を伝える。なんとすごいことだ。いわばシムシティのRTAは「社会のRTA」にも思える。
現実でも税率を倍に引き上げたり、急に警察署を乱立しまくったりしてみたいね。
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