アンパッキング。
オーストラリアから生まれたインディーゲーム。パズルゲーの分類ですが、そこまでの複雑さはなく、例えるのが難しい独特な作品。

目的は「引越し荷物の開封」。
段ボールを開けては置いてを繰り返す。きちんとした置き場所に。そのうえである程度の自由度もあり、自分だけの空間ができてくると満足度も高い。
とはいえ、僕が本作で最も好きな要素はドット絵。ただただ繊細な家具なり洋服なりのドットを眺めているだけで気持ちがいい。物を動かしていくだけで心が安らぎ、禅のような感覚に。
けっして大きなことは何も起きないからこそ、グラフィックとBGMのみに集中ができる。そう考えると、「ドット絵の美」を極限まで楽しめるゲームとも言える。
まあ、シンプルに整理整頓をリアルでもつねに行い続けているので、ゲームでそれが快適に行えるのは嬉しい。

引越しのたびにライフスタイルや同居人が変わり、見えない主人公の人格や人生が見えてくる。幼少期から一貫して大切にしているおもちゃやぬいぐるみが見えてきたり。非常にゆるりとゆるりとストーリーが進行する。
ここからが本作の特異性。
ネタバレになるので気になるなら引き返してね。
なんと本作アンパッキング、こうしたストーリーの想像の中に、驚くほど闇がない。もちろん、人間らしい不幸などはあるけれども、基本的には綺麗で丁寧な暮らしが続き、並べ方などプレイの過程で変化がない。逆にめちゃくちゃに散らかすクリア方法などあれども物語は変わらず。
日本人なら絶対にここで裏要素や暗い連想を仕込む。日本産なら、真に「丁寧な暮らし」や「家族の暖かさ」を信頼できない。

自分自身がオーストラリアに行って理由がわかる。あの国には暖かさ、豊かさへの確固たる信頼があり、多くの人たちが優しさのなかで生きている。だからこそ、このようなスローな作品を捻らず堂々とお出しできる。これは間違いなく個性でしょう。本作への一番の感動は、ここまで真に丁寧に生きていくことを信仰できるのか……になった。僕なら我慢できずに、薄暗い匂わせをちらほら入れてしまうし、そのせいで作品のテーマ性ががらりと変わり、この完成度に至らない。
なるほど。たしかにこうなると逆に尖っているとも言えるし、このゲームは心に残るものではあるわけで、まさしくインディーですね。

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