ルノアールは良い。なんといってもルノワールの絵が飾られており、作業中にふと目を移すと、その眩さに心奪われる。ルノワールの描く色の優しさは、そのまま人の優しさを想ってしまう。

可愛いイレーヌ。こんなにも優雅に栗色の髪を描けるのも、ルノワールが人を丹念に観察し、人間を愛していた何よりの証拠でしょう。

さらに目線を移すと、『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』だ。この絵の賑やかさと言ったら凄い。無人の席からでも舞踏会のような足音が聴こえてくるような。

ルノワールと言えば、やはり「人物」。ここまで多くの人たちの日常を、いっさいのいやらしさなく切り取る。一癖も二癖もある印象派の画家たちのなかで、ここまで人間の朗らかさを信じた人物も珍しい。
とはいえ、実際の喫茶店で行われているのは、風俗の勧誘や保険の契約などではあるのだが。喜びに溢れたルノワールの絵画とクラシックの下、非常に俗な話題が展開されているのは現代アートか。
有名な話で、ルノワールとモネ、それぞれの違った魅力が面白い構図がある。同じ場面を描いているのに注目する点がまったく異なる。

こちらがルノワールの『ラ・グルヌイエール』。先述した絵と同じく、人々の豊かな暮らしを美麗に描く。

一方、モネの『ラ・グルヌイエール』。こちらは、モネらしく水面の反射が美しい。代わりに人物は簡素に、まるで水面を引き立てるための脇役としてぼやっと描かれている。
人物と水面。
同じ空間を切り取ろうとも、人間たちはここまで視点が異なり、またどちらも別種の美しさを持っている。
印象派たちの生き様に想いを馳せながら、ルノアールで大声を出すマルチの勧誘たちの喧騒をBGMにコーヒーを嗜む。ルノワールが描けば、この店内もまた優雅で喜びに満ちた一枚となるのでしょうか。
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