※本記事は2021年12月2日にnoteへ投稿された記事の再投稿です。

「絶対だいじょうぶだよ」と、頭の中のさくらちゃんは微笑みかけてくれるけれど、大丈夫? 僕の人生、本当にこんな感じで大丈夫? と、何度も脳内が作り出した幻覚に確認をとります。
大丈夫だろうか、僕は。このまま生きていもいいのだろうか。漠然とした不安をアルコールで向精神薬を流すことで掻き消し、嫌なことぜんぶ見て見ぬ振りして、すべてを未来の自分に託して、日中眠り続ける生活でもどうにかなるだろうか。
「絶対だいじょうぶだよ」と、それでもさくらちゃんは無垢な笑顔で迎えます。なんと素敵なことでしょう。こんな綺麗なモノ、一秒でも長く保存しておきたくなるに決まっている。知世ちゃんがビデオを回し続ける理由も納得です。これ以上に大切なことって一切存在しないから。
子供の頃から、プライドだけが無闇に膨れ上がってきました。大人から叱られた経験が無いからかもしれません。失敗を必要以上に恐れ、自虐を繰り返すことで、デリケートな部分に触れられないようバリアを貼る癖ができました。年齢とともに求められるハードルも上がり、このプライドがいつ折られてしまうかの恐怖を抱えています。
「絶対だいじょうぶだよ」と、さくらちゃんの幻覚が笑ってくれる。微笑むたびに、彼女の長い前髪が静かに揺れた。心の底から大丈夫だと思ってくれているのでしょう。だって、これは僕に都合の良い幻覚だから。誰かがそう言ってくれないと僕が壊れてしまうだろうから。
「絶対だいじょうぶだよ」。さくらちゃんは、薬の効果が切れるまで僕に笑いかけてくれます。
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